大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都家庭裁判所峯山支部 昭和32年(家)170号 審判 1957年4月03日

申立人 田川広之(仮名)

田川光子(仮名)

養父となる者 坂上静夫(仮名)

養母となる者 坂上時子(仮名)

事件本人

未成年者 田川清子(仮名)

主文

上記坂上静夫、坂上時子両名が上記未成年者を養子とすることを許可する。

理由

申立人両名は未成年者の実親であり、未成年者を坂上静夫、坂上時子の養子とすることを許可する審判を求めると云うにあるが、民法第七九八条は改正民法による新設規定にしていわゆる新法がひとえに養子となる未成年者将来の福祉を考慮し、擬制的親子関係を成立さすことの当否について家庭裁判所の審判に委せ、旧法時代しばしば行われた家のためとか、或は、又養親のためとかの目的による縁組を排斥する趣旨に出たものであつて、従つて同条に未成年者を「養子とするには」とあるもこれをもつて未成年者を養子として迎える養親側において家庭裁判所に対し許可申立をしなくてはならぬ趣旨と、しいて解する必要なく本件のように実親側からの申立は通常一般に取扱われている養親側からの申立形式より観れば異例ではあるが、ようするにこれは単なる申立の形式に過ぎずして、かかることは前記本条の律意に何等矛盾背反するものでないから諸般の事情並に要件を審究したうえ(養親の縁組承諾書、実親の縁組代諾の存在等)、異例の形式による本件申立に拘らずこれを許可することとし主文のとおり審判する。

(家事審判官 佐々木二雄)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例